Lil Wayne / Funeral

Release Date / 31 Jan. 2020

長いブランクがあったにも関わらず前作アルバムである「Tha Carter V」をヒットさせたのが2018年の下半期の事。あれから僅か15ヶ月程のスパンで全24曲入りという凄まじいボリューム感のニューシットとなる「Funeral」をリリースしたリル・ウェイン。その存在は、もはやサウスだとかトラップだとかいう形容詞で批評すべき領域では無いのかもしれない。それもその筈、リル・ウェインは現行のヒップホップ・シーンを全く追っていないらしく、サウス界隈では飛ぶ鳥を落とす勢いである21サヴェージを21人組のユニットだと勘違いして本人を怒らせたという逸話まで飛びだしてくる程だ(笑)だが、そんな男が繰り出した「Funeral」に収録されている24曲のキレ味は一体何なんだ?本当に最近のヒップホップに疎いラッパーの作品だと思うだろうか?その答えは否。それどころか現行のシーンの空気感にバッチリとフィットしているではないか。まずシングルカットされた”Mahogany”からしてクソタイトな仕上がりなのだが、この”Mahogany”ですら「Funeral」内ではジャブ程度なのかと思わされる濃厚さ。もうトラップですらない別モノのサウンドと化した”Mama Mia”や、Rec中に寿命を削っているんじゃないかと感じさせる”Dreams”の狂気じみたフロウには鳥肌が立ってしまったくらいだ。また現行のシーンに疎いという割にはゲストの人選とトラックのチョイスも絶妙だったりして。”I Do It”ではビッグ・ショーンとリル・ベイビー、”Bing James”ではジェイ・ロック、”I Dont Sleep”ではテイクオフ、”Get Outta My Head”では故・XXXテンタシオンが参加してウェインを援護射撃・・・って、えぇ?こんなにタイムリーなゲストを呼んでおいて本当に21サヴェージを知らなかったの?(笑)まぁ冗談はさておき、今作「Funeral」もめでたくビルボード・アルバムチャートで初登場1位を獲得。これで自身にとって通算6枚目の全米1位と相成った。リリース前にはお約束とも言えるサウンドクラウドへの音源流出があったにも関わらず結果を残すあたりは流石というか、もうリル・ウェインからは大御所感が漂っているのでは?うん。前作「Tha Carter V」の時にも言わせてもらったが、こんだけ面白いアルバム作るんだから、そりゃ売れる訳だよねぇ。
(DJ YU-1)

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