K’ Jon / Moving On

Release Date / Apr. 17 2012
Moving on
リュダクリスやタイリース、デヴォン青木などが出演し、日本でも大ヒットした映画「Wild Speed : 2Fast 2Furious」のサウンド・トラックに収録された”Miami”にて2003年に初お披露目となり、その後は数枚のインディペンデント・レーベルでアルバムをリリース。デトロイトに住む家族を養うために昼間は普通の仕事をしながらアーティスト活動を続けている苦労人だ。時に家族を想うことに明け暮れることもあると言うが、その影は彼の歌を聴くと痛いほど実感できる。2009年にメジャーレーベル、Universal Republicよりアルバム「I Get Around」をリリース。全米アルバム・チャートにて最高12位、R&Bアルバム・チャートでは1位を記録。と、そこまでは良かったが、それ以降のシングルは不発で唯一のシングルカット”On The Ocean”はシングル総合最高96位止まりという結果で終わっている。2011年に同レーベルからリリース予定だったアルバム「Oxygen」はお蔵入りとなったことから、今回のインデペンデント・リリースへ気持ちを切り替えるにあたって、相当なタフさと勇気を持って挑んでいることが理解できる。「俺の意志は強いんだ」と歌うタイトル曲の”Moving On” は現在彼が置かれている状況を打ち破りたいという気持ちを歌ったことが伝わり、非常に感動に値する。ついつい、こういった苦労人のアーティストを応援したくなるのだが、私が彼をプッシュするのは背景のストーリー以外にも、彼の歌心や描いているストーリーが純粋に素晴らしいという点に尽きる。収録曲には心を動かされる曲が多く、手のかかる兄弟に向け愛の告白を綴る“My Lil Sister”、愛しき母に向けて歌った”Super Momma”、実生活に基づいて書いたと思われる愛妻への手紙の様な”Will You Be There”など人間臭いドラマが想いとなって作品に反映されている。おススメ曲は同郷の女性ネオ・ソウル・シンガー、Mistee Merrittとデュエットした曲”Wonderland”。久々に腰を据えて聞きこめる素敵なR&Bアルバムに遭遇した。リラックス&レイドバックして聞きたい作品。

PAGE TOP