フューチャーにとっては通算8枚目のスタジオ・アルバムとなるのが、今作「High Off Life」だ。気付けばフューチャーもすっかりベテランの風格の漂うラッパーになった様子で。うん、これで自身何枚目の全米チャート1位なのだろうか?と、数えてみたらこの「High Off Life」で6作連続でのチャート1位を獲得と相成った。実は個人的には近頃のトラップ系のHIP HOPに飽きていたというか、少し食傷気味な印象を持っていたのだが、今作を聴いてみてトラップへの偏見を悔い改めないといけないと思い知らされた次第である。もう単刀直入に言わせて貰うが、やっぱりフューチャーはカッコ良かったわ!先程は彼の存在感を〈ベテランの風格〉と評したが、それを〈王者の風格〉に訂正しておこうじゃないか。そんな今作「High Off Life」は既に先行シングルでドレイクをゲストに迎えた”Life Is Good”が売れに売れているのだが、このトラップの最終形態かの様な輝きを放つ”Life Is Good”の完成度の高さからしてアルバム本体への期待値は元々高かった。そして蓋を開けてみれば期待値の高さに見事に応える楽曲のオンパレードを披露。その収録曲で言えば”Hitek Tek”や”Touch the Sky”といったメインストリームのど真ん中に刺さるトラップは当然として、ミークミルをゲストに迎えた”100 Shooters”ではフューチャーらしくない?ワンループ物のシンプルなビートでもタイトなキックを魅せた。またドレイクの他にダベイビーとリル・ベイビーのヴァースを加えた”Life Is Good”の豪華なリミックスまで収録と文句のつけようの無いトラックリストは聴きごたえ充分。上記の楽曲以外でもトラヴィス・スコットにヤング・サグ、リルウジにリル・ダークとトラップ界隈の顔役ともいえる面子がこぞって参加と、まるで《トラップ欲張りセット》かの様相を呈する今作「High Off Life」は、初動のセールスで早くもフューチャー自身最高の売り上げを更新する勢いの滑り出しを見せた。これは2020年最大のヒットになるのでは?いずれにせよ、来年のグラミー賞でも台風の目になりそうな予感が漂うアルバムだ。
DJ YU-1
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