French Montana / CB5

French Montana と言えば、ちょうど一年前に『MONTANA』という素晴らしいアルバムのレビューを執筆したばかりなのだが、早くも彼の新作が聴ける事となった。そのタイトルは『CB5』。勘の良いヘッズならこの題名だけでお分かりだろう。そう、今作はMontana の定番と化したたスタジオワークであるミックステープシリーズ『Coke Boys』の5作目という事になる。一口にミックステープといっても5作品にも渡る長期のシリーズ化はMontana の多作ぶりを象徴する仕事と見て間違いないのではないか?当然ながら今作でもストリートのフレイヴァが漂う骨太のヒップホップを存分に堪能させてもらった。

まず今作を語る上で外せないのは、豪華なゲスト陣だ。Coke Boys のメンバーであるLil Durk Chinx の参加は勿論のこと、A$AP RockyJim JonesLil MoseyYoungBoy Never Broken Again など、新旧問わず様々なラッパーがヴァースを蹴っている様は壮観ですらある。そして、このゲスト達の中でも特筆すべきは故・Pop Smoke をフィーチャーした “Double G” だと断言しよう。今作からの先行シングルでもある同曲は、Michael Kiwanuka  “I’ll Never Love” をサンプリングしたシリアスなトラックとPop Smoke の生々しいフロウがいびつに絡みつくストリートシットとなっているのだが、この “Double G” を聴いているとまだPop Smokeは生きているのでは?と錯覚してしまう程のコラボっぷりだった。他にもメインストリームのド真ん中なサウンドが炸裂している “FTMU” や、トラップ × レゲトンなビートが面白い“Paradise”、疾走感のあるワンループが個人的なツボを突いてくれた “Phenomenon”G-Funk的な上ネタでレイドバックする “Big Cap” など粒揃いのトラックリストで楽しませてくれた『CB5』。残念ながら最新のビルボード200では初登場51位とセールス的には振るわなかったものの、2020年のヒップホップ・シーンを統括する上で非常にバランスの取れた作品である事には間違いない。

DJ YU-1

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