Fall Out Boy / Make America Psycho Again

Release Date / Oct. 30 2015
Make America Psycho Again
いきなり個人的な話になってしまうが、筆者は音楽を語る時にオルタナティブという言葉はあまり使いたく無い。オルタナティブという言葉はとても便利で、目新しい事を魅せた型破りなアーティストを批評する際にとても使い勝手の良い言葉だ。これまでもジャミロクワイ、リンプ・ビズキット、リンキンパーク等、異端なアーティストは必ずと言って良い程オルタナティブと評されてきたが、その言葉を使う事は得体の知れないものを体裁良く表現する為の逃げ道の様に感じる。事実、オルタナティブと評されたアーティストの音楽に一貫した方向性は無く、唯一の共通点は音楽シーンの流行りに捕らわれないという強烈な個性くらいだ。だからこそオルタナティブという音楽ジャンルが存在するかの様な批評の仕方が好きになれないでいたのだが、今回のレビューは困った(笑)
アメリカに留まらず、世界中のロックファンなら名前を知っているであろうフォール・アウト・ボーイ。もちろん彼等はロックバンドであり、今年の1月にリリースした「American Beauty / American Psycho」も大ヒットした。日本のラジオでも頻繁に流れたくらいだ。そんな彼等が「American Beauty / American Psycho」のリミックスアルバムを発表するのだが、タイトルは「Make American Psycho Again」。ド直球のタイトルである。内容もまた直球で「American Beauty / American Psycho」の全曲にラッパーをフィーチャーしつつリミックスというロックとヒップホップのコラボレーションである。かつて流行したミクスチャーバンドのフレイヴァを感じるかと思いきや、今回のリミックスアルバムは初めて聴いた感触だった。曲自体はジャンルレスで異質なのだが違和感無くラッパーがフィーチャーされ、しかも気持ち良くハマっている。使うまいと思っていたオルタナティブと言う形容がしっくり来てしまった。ここは意固地にならずに前言撤回。攻めたサウンドの切れ味はどれも素晴らしくオリジナルを凌駕する曲もあるくらいだ。特にウィズ・カリファをゲストに迎えた‘‘Uma Thurman’’のカオスなビートはクセになるのでオススメ。
(DJ YU-1)

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