Release Date / Nov. 24 2017
共にニューヨーク出身で2000年代初頭のヒップホップシーンで凌ぎを削ってきたMCといえばファボラスとジェイダキス。当時のヒットメイカー、例えばDJクルーやケイスレイ、ファンク・マスター・フレックス等が仕掛けるマイクリレー物のトラックでは必ずと言って良いくらい彼らのラップが聴けたあの熱い時代・・・あれから2人共にベテランと呼べるまでのキャリアを重ねてきたが、あの当時の熱量を持ったコラボ・アルバムがシーンに投下!!いや、実際のところはファボラスとジェイダキスによるミックステープの共作計画がアナウンスされてから一年余りが経過しており、今作を待ちくたびれていたファンも多いことだろう。そして待たされた甲斐のあるファットなビートにどうぞ安心してください(笑)
その「Friday On Elm Street」なるタイトルの今作はアルバムのイントロとなる‘‘F vs J Intro’’のシリアスな導入から幕を開けるが、ビートが鳴ったと同時に東海岸のヒップホップのそれだと分かる空気感が一気に広がる。西海岸でもなければサウスでもない、ニューヨークのミドルスクール特有の殺伐さに絡まるファボラスとジェイダキスのフロウもタイトだ。そして‘‘Stand Up’’、‘‘I Play’’ではスウィズ・ビーツ、‘‘Ice Pick’’ではスタイル-Pといった同世代のゲストとの相性の良い共演が聴けるのも嬉しいところ。また‘‘Stand Up(Remix)’’なんかではトラック自体はオリジナルのまんまで使用してるのに、ゲストのラッパーのパートを増やしただけでリミックスと言い張るあたりが最高に2000年代前半っぽくて笑ってしまった。(当時のこの手法のリミックスのゲストは大体バスタ・ライムズとM.O.Pだったりする)こんな感じで、個人的には大いに楽しめた「Friday On Elm Street」だが、今作がビルボードチャートでも初登場でTOP 10に入ってきた事実には驚いた。この手のサウンドは現行シーンでは苦戦するかと思っていたが・・・これで通算ではファボラスが6作目、ジェイダキスには5作目となるTOP 10アルバムとなった。流石に2人共まだまだ老け込む年ではなかったという事か。ニューヨークサウンド好きにはドープな一枚。
(DJ YU-1)
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