Creepy Nuts – Ensemble Play

Release Date / 7 Sep. 2022

メジャーデビュー以降いくつかのミニアルバムを挟んではいるものの、フルアルバムとしてはグループ3枚目となる『アンサンブル・プレイ』を発表したクリーピーナッツ。その存在は、ストリートカルチャーとしてのHIP HOPに深く関わっていない人間が相手でも広く知れ渡っており、最早ポップスターと呼んで差し支えない2人なのかも知れない。そんな2人が放つNew Shit達のサウンドもポップスターのそれ。中でも特筆すべきはアニメのオープニングソングにも採用されたシングル “堕天” や、YOASOBIのメンバーとの相性も抜群に良かった “ばかまじめ” で発揮された柔軟性ではないか?この柔軟性からはHIP HOP特有の重苦しさやアングラ感は一切感じる事はなく、幼稚な表現になってしまうがHIP HOPが〈お茶の間に浸透〉する瞬間に立ち会った気分すら感じた。いや、これまでもリップスライムやクレヴァ等の存在がHIP HOPをポピュラーなフィールドに押し上げてきた実績があるが、今作でのクリーピーナッツのポップス感は群を抜いている。
そしてこの2人の恐ろしいところは、ここまでポップ寄りなアルバムを作ったとしてもHIP HOPアーティストとしての自力までもが突き抜けている事にある。そう、MCバトルで名を上げたR指定とDMCで世界チャンピオンになったDJ 松永のスキルに疑いの余地など最初から無かったのだ。今作の収録曲で言えば “Madman” で聴かせてくれたローファイなビートや “パッと咲いて散って灰に” , “ロスタイム” で魅せたタイトなライミング等から2人のHIP HOP愛を感じる事が出来るだろう。
と、ここまで書いておいて矛盾してしまうが、もうクリーピーナッツの2人をHIP HOPのカテゴリーに縛り付ける事自体に無理があるのでは無いか?とも思う。今作『アンサンブル・プレイ』は2人のポップスターが作り上げたエンターテイメント作品として万人に受け入れられるべき1枚なのだ。って、これじゃまるでマイケル・ジャクソンじゃないか(笑)でも、それくらいのアーティストになる可能性はあるんじゃないかな。
DJ YU-1

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