Release Date / 31 July 2020
ブランディの通算7枚目のスタジオアルバムだからタイトルは『B7』。なんとも分かりやすくて直球なタイトルだが、自身のアルバムとしては実に8年ものブランクが空いてしまった。だが、2019年にはオーガスト・グリーンの”Optimistic”への客演や、ダニエル・シーザーとのコラボ曲”Love Again”だったりと昨年あたりからブランディ自身の露出は増えており、耳の早い好事家なら今作への期待感は持っていたに違いなかっただろう。そんな中、上記の”Love Again”も収録された今作『B7』は90年代からR&Bシーンを走り続けてきたブランディならではの大人びたソウルが全編に散りばめられている。このブランディの持つソウル感の演出に一役買ったのが”Love Again”もプロデュースしたDJキャンパーだ。そう、DJキャンパーはアルバム収録の全15曲のうち10曲に渡って制作に関わるなど文字通り『B7』の核となる重要な役割を果たしており、その仕事の中でも特筆モノだったのがシングルカットされた”Borderline”ではないか?同曲を聴けば分かってもらえると思うがDJキャンパーはブランディのハスキーなボーカルの活かし方を本当に良く熟知しているのだろう。かつてはダラス・オースティンなどのヒットメーカーと数々の名曲を残してきたブランディだが、今作を聴いた感想としてはDJキャンパーとのタッグもそれら過去のヒット曲に匹敵すると認めざるを得ない。また今作での最大のキラーチューンとなった”Baby Mama”ではチャンス・ザ・ラッパーとの見事な絡みでブランクを感じさせなかったブランディ。これは中々のアルバムになったと思っていたら『B7』は、最新のアルバムチャートで初登場12位を記録。これは確かに90年代にはトップを飾り続けてきた全盛期のブランディからすると物足りない位置ではある。しかしながら現在の流れの早い音楽シーンの中で、8年ものブランク明けとは思えない好セールスである事も補足しておく。これにはケチのつけようがなく、今作が良盤である事は間違いない。
DJ YU-1
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