Release Date / 12 Jan. 2024
これは優勝。
いや、と言うのも昨年の2023年12月末に敢行されたbillboard TOKYO での来日公演も記憶に新しい Arrested Development が発表したニューアルバム『Bullets In The Chamber』の出来栄えが非常に素晴らしいではないか!?思えばギャングスタ・ラップ全盛の1990年代、またはサウス系トラップが隆盛を極めた2010年代においても自分達らしさを追求してきた彼らのスタイルは流行に左右される様なシロモノではなく、2024年になった現在でも眩い光を放っているのだ。そう、メンバー達の出自のルーツと向き合い続けたアフリカンなバンド・サウンドは常にファンクネスを携えているし、そのサウンドの上で蹴られる Speech のヴァースもタイトなこと極まりなく、正にヒップホップの原点の様なスタイルを貫き続けていると言えるだろう。このソウルの体現者とも受け取れる Arrested Development の姿勢は改めてリスペクトしなくてはなるまい。
そんな彼らが2024年仕様にアップデートした『Bullets In The Chamber』は、これまでのスタイルを踏襲しつつも Speech のラップに更なる磨きがかかっているから恐れいる。(余談だが、Speechはソロ作品よりもグループでマイクを握った方が輝くと思う) うん、彼のリリックは常にブレる事は無くて、今時のサグな事柄やリッチな成功を語る訳ではないのだが、聴き手の耳を奪う魅力に溢れているのだ。恐らく、The Roots の Black Thought や Common , またはMOS DEF 辺りのラッパーにも通じるものがあるのだが彼らが紡ぐ言葉の数々は、いつだってポジティブで暖かい。その Speech のラップを最大限に活かすのもまた、グループ特有のバンドサウンドの妙で間違いないだろう。実は筆者の個人的な好みとしてはヒップホップにハマった当初からターンテーブルとサンプラーを駆使したビートこそが至高と言う考えを持っているのだが、Arrested Development のバンド・スタイルはその個人的な偏った意見なんか真っ向から覆す破壊力を持っていたりして。。。これこそが生音の底力だし、彼らの演奏力の真骨頂なのだろう。また全編に渡ってゲストアーティストが参加している『Bullets In The Chamber』だが、そのゲストアーティストの人選にも抜かりがないことも付け加えておく。
えっ?そんな今作からのオススメの1曲だって?いやいや、全曲ヤバいし、久しぶりに捨て曲ナシと断言できるアルバムに出会えたくらいだよ?
もう一度言うし、あまりに気が早いけど、これは2024年の優勝候補だ。
DJ YU-1