Gorillaz / Cracker Island

Release Date / 24 Feb. 2023

まさにネクスト・レヴェル。一目見ただけで Jamie Hewlet のアートワークだと分かるジャケットを眺めて思わず身体が動いてしまったアナタは、既にゴリラ教の信者なのかもしれない。そう、日本でもシンガーソングライターの Ado の台頭やボカロ・カルチャーの隆盛により市民権を得たヴァーチャルミュージックのシーンだが、Gorillaz を語らずにヴァーチャルミュージックの何が分かろうか?そんな彼らの通算8枚目のスタジオアルバムとなる『Cracker Island』がドロップされた訳だが、今作は Gorillaz のメンバー達が混沌とした世界を救うべく〈The Last Cult〉と名乗る架空のカルト宗教を立ち上げて制作されたという謎のコンセプトを持つ作品だ。いやはやヴァーチャルなメディアにカルト教団って、タイムリーなネタがてんこ盛りで目眩がしてきそうな話だが、彼らが本来得意とするオルタナティブなサウンドは健在。むしろバンド内でのドラマー役(Russel Hobbs)を演じてきた Remi Kabaka Jr. がプロデュースする今作のビートは、グループ史上過去最高傑作なのでは?

そのキレッキレのビートが散りばめられたトラックリストの中でも眉唾物なのがアルバムタイトル曲でもある “Cracker Island” , “Silent Running” , “Skinny Ape” の先行シングル達だろう。このシングル達は三者三様でタイプの違う曲に聴こえるのだが、エレクトロポップの最終進化系とも受け取れる浮遊感のあるビートといった意味では共通点も多い。そして、これこそが Remi Kabaka Jr. の真骨頂とも言えるサウンドで Damon Albarn のヴォーカルとの相性の良さは Blur のバンドスタイルを凌駕する程だ。いや、既にセールス的にはGorillaz が Blur を圧倒しているくらいで、世間的に Damon Albarn と言えば Gorillaz のイメージの方が強いくらいか?(それはそれでオジサン世代には少し寂しい)
更にはヴァーチャルバンドの先駆けとも言える彼らの存在感と、時代を先行く世界感を引っ提げた今作『Cracker Island』は音楽的な評価とセールスの両面で大成功を収めそうではないか。まぁ、正直に言うとカルト教団が世界を救うというコンセプトには着いて行けてない自分もいるのだが、今作の日本盤ボーナストラックである “Crocadillaz” のゲストとして De La Soul が参加している事には大いに興奮させられた。そう、De La Soul と言えばメンバーの Trugoy the Dove が先日急逝したばかり。まさか、このタイミングで彼らのフロウを聴くことになるとは思わなかったが、シーンの大功労者には最大級のリスペクトを送りたい。
R.I.P. Trugoy…..

DJ YU-1

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