Release Date / 3 April 2020
人呼んでマルチ・インストゥルメンタリスト。また彼の事は、Sooper Recordsの創始者にしてシカゴのオルタナティブR&Bシーンの鬼才とでも評しておこうか。これまでもNnamdi Ogbonnaya(ナムディ・オグボナヤ)名義でインディを中心に活動してきた彼だが、この度はNnamdi(ナムディ)名義で最新作「BRAT」を発表したナムディ。今作もこれまでの作品同様、オルタナティブで実験的なサウンドは健在だ。いやむしろ評論家泣かせの難解な楽曲達は、なかなかに挑発的だとすら思える。なんといってもマルチ・インストゥルメンタリストの異名は伊達じゃないと言うか、どの曲のプロダクションもとんでもなく尖っているのではないか?まずアルバムからの先行カット”Wasted”しかり、”Gimme Gimme”や”Bllseye”、”Glass Casket”、”It’s OK”を始めとした収録曲達に共通しているのは、どこか抽象的なサウンドにも関わらずドッシリしているというか重厚感を携えている点だ。そして、この何とも形容し難いトラックに乗るのは、見た目に反して透明感のあるナムディの歌声だ。これらのトラックに彼の歌声が乗る事によって不思議な空気感は倍増されるのだが、聴いていくうちに徐々に引き込まれていくのだから面白い。不本意ながらマルチ・インストゥルメンタリストの術中にすっかりハマっていたようだ(笑)更には、これだけの世界観をソングライティングからスタジオ・ワークに至るまで全てセルフプロデュースで作りあげたと言うから恐れいる。ナムディの名は、日本では無名に近い存在ながらもUS本国では熱狂的な支持者が多いと言うのも納得の鬼才ぶりだ。うーむ。これだけのクオリティの作品なんだから、アブストラクトだとかオルタナティブと言った言葉で簡単に評価するのは何だか気が引けるなぁ・・・だが、他に上手い表現が見つからないのも事実。いや、ところでナムディさん?あなたのサウンドは、ちょっと未来を行き過ぎはいませんか?(笑)筆者が彼の作品をもっと細かく噛み砕いて理解する為には、まだまだ時間がかかりそうだ。
DJ YU-1
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