Release Date / 28 June 2019
2019年も上半期がようやく終わるといった時期に少々気が早いかも知れないが、今作はR&Bシーンにおいて2019年度の最重要アルバムと位置づけても問題ないと思う。そう、個人的にはもはやスターと呼んでも差し支えないという評価だったシンガーのクリス・ブラウンが発表した最新作「Indigo」の話なのだが、今作が放つR&B濃度の濃さにはすっかりやられてしまっているのだ。なんてったって全32曲入りで120分越えのボリュームである。ダウンロード派の方には縁の無い話だが、この「Indigo」はCDなら2枚組となる重厚さだ。いや、思わずベスト盤かよ!ってツッコミたくなる曲数だが、このボリュームでも内容が全く薄まって無い所が特筆モノだ。まず、今作で誰しもが驚いたのが永らくビーフのあったクリスとドレイクとの共演だろう。何というか、この件に関してはいたる所で散々語られているから流す程度に留めておくが両者のビーフとは、あのリアーナを巡っての元カレ = クリス・ブラウンと今カレ = ドレイクの痴話喧嘩といったところだ。(あくまで2012年頃の話でリアーナは現在では両者とも関係は解消している)まぁ過去の話とは言え、お互いが共演することは絶対に無いと思われた2人のコラボレーションは音楽シーンを大いにザワつかせた。だが、この2人が共演した‘‘No Guidance’’は「Indigo」の序章に過ぎなかったりして。そりゃ32曲もあるくらいだからね(笑)という訳で筆者としては怒涛のサンプリングセンスが炸裂したスタジオ・ワークスに今作の凄さを見た思いだ。特に個人的にも大好きだった故アリーヤの‘‘Back & Forth’’を引用した‘‘Throw It Back’’や、ニッキー・ニナージュとG・イージーをフィーチャーし、故マグノリア・ショーティの‘‘Monkey on the D$CK’’ネタ使いがアガる‘‘Woddle Up’’、また今作からのリードシングルであり大ネタ使いの‘‘Undecided’’(今更シャニースのネタ!)あたりはアルバムのハイライトだと思う。こんな感じで、とにかく内容の濃いアルバムとなった「Indigo」だが、その伏線としては、今年の始めにクリスが所属するレーベルのRCAと結び直した再契約が大いに関係していると見た。なんでも今回の再契約は、本来ならレーベル側が所有する筈の楽曲の原盤権をアーティストであるクリス・ブラウンが保持する形でのディールだったとか。要するにこれは超一流のアーティストにのみ許される待遇であり、クリスの若さでは異例の契約である。という事は、下世話な話になるがクリスはこの「Indigo」でガッツリ印税を稼ぐつもりでRECしたでしょう?既にアルバムチャートでは初登場1位を獲得したとの情報も入ってきたが、本物のスターが本気で売りにきたアルバムのセールスの行方もちょっと気になるところだ。
(DJ YU-1)
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