Release Date / 20 July 2018
2000年代のレゲエの象徴と言えば、この男で間違いないだろう。ダンスホール・シーンの大功労者であり、レゲエ界のみならず各所にクラシックを残してきた帝王 = ショーン・ポール。近年ではIsland UKへのレーベル移籍に加え、昨年はベストアルバム「Duty Classics Collection」を発表するなど、これまでの自身のキャリアを統括すかのような活動が目立っていた彼だが、2018年7月に〈ショーン・ポール第2章の始まりか?〉とでも評価したくなるミニ・アルバムをドロップしてきた。そんな今作「Mad Love」はショーン・ポールがIsland UKに移籍してきてから発表した既発のシングルに加え、幾つかの新曲をプラスしての全9曲というコンパクトなヴォリュームとなっているが、コンパクトなのはあくまでソングリストの曲数だけ。肝心のアルバムの中身はというと夏にぴったりな重厚なダンスホール / レゲトン・サウンドにラテン要素をプラスした贅沢コンボとなっている。この「Mad Love」のソングリストを目にして、特に気になったのはゲストアーティストの多彩さだ。既発のシングルで言えばデュア・リパとの‘‘No Lie’’、ミーゴス参加の‘‘Body’’、メジャー・レイザーとの‘‘Tip on It’’、また今作の為に書き下ろした新曲で言えば、‘‘Naked Truth’’ではジュネイ・アイコ、‘‘Jet Plane Trip’’ではステフロン・ドン、‘‘Bad Love’’ではエリー・ゴールディングと、本当に様々なタイプなアーティストがこれでもかとゲスト参加。どのタイプのアーティストでもダンスホール / レゲトンのビートに違和感無く入り込んでいるあたりも面白いが、やはり主役はショーン・ポール。改めて、この男の声はダンスホールのビートに乗せる為にあるのだと再確認できた。そんな中、唯一ショーン・ポールから主役の座を奪ったのがアルバムタイトル曲‘‘Mad Love’’に参加したベッキー・Gではないか?彼女の事は筆者個人的にもポスト・リアーナ、又はポスト・シャキーラとして大いに注目していたが、今作でもキュートな存在感が◎。‘‘Mad Love’’だけに関しては仮にベッキー・G名義の曲でも納得してしまうほどだ。また兼ねてからベッキー・Gの才能を認め、ゲストに指名したショーン・ポールの目のつけどころも尚良し。このラテンとレゲエの相性の良さは‘‘Mad Love’’の1曲で終わる事なく、さらなる広がりを見せ欲しいものだ。
(DJ YU-1)
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