Release Date / Jan. 27 2017
コアなR&Bリスナーなら1年以上前からケラーニの1stアルバムを待ち焦がれたに違いない。今作は彼女がプライベートに問題を抱えた為に、無事に発表されるか怪しい時期もあったが、2017年に入りなんとかリリースに漕ぎ着けた。しかも内容は期待以上のアルバムに仕上げるあたり、流石は〈R&Bの救世主〉の異名は伊達じゃないといった所か。まだ弱冠21歳。これから十数年間に渡り、R&Bシーンを牽引していく事は想像に難くない。華々しいブレイクから約2年の時を経てリリースされたケラーニのデビュー・アルバム「SweetSexySavage」はビルボード・アルバムチャートで初登場3位につけた。あのスキャンダルさえ無ければもっと上に行けたのでは?とも思えるが、それは少し意地悪な見方かも知れない。それは昨年ゴシップ誌を賑わせた三角関係のもつれからの自殺未遂。いや、それしきのスキャンダルだけでケラーニにレッテルを貼るのは時期尚早だ。幼少時から父を亡くし、薬物依存性の母親との母子家庭、全身に入ったタトゥー・・・ハードな環境から這い上がってきたアバンギャルドな存在感は、そこらへんのアイドルシンガーを寄せ付け無い光を放つ。そう、こんな硬派なシンガーの登場は久しぶりではないか?今作「SweetSexySavage」収録の全ての楽曲の制作にはケラーニ自身が携わり、更にはゲストアーティストの参加は無しというアルバムの陣容を見ても彼女の本格派ぶりが伺える。昨年リリースして高評価を得た先行シングル‘‘CRZY’’、‘‘Distraction’’を皮切りに、‘‘Personal’’という曲ではアリーヤの‘‘Come Over’’をサンプリングする音楽センスを魅せ、ボーナス・トラックではケラーニがブレイクするきっかけにもなったヒット曲‘‘Gangsta’’まで収録と、デビューアルバムにして中々の濃いパッケージング。これを機に幾多のアーティストが彼女をゲストに呼ぶことだろう。まだ日本では浸透していないが、ケラーニの名前は覚えておいて損は無い。力作です。
(DJ YU-1)
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