Chris Brown / F.A.M.E.

Release Date / Mar. 22nd 2011
F.A.M.E.
これだけの大物アーティストにしては意外だが、4作目にして自身の記録初の全米アルバム・チャート1位を獲得。発売週に競合がいなかったことも幸いし(しいて言えば同週にリリースされたジェニファーハドソンのアルバムが2位)アルバム・デビュー統計時に27万枚を売上げ、現在も着々とセールスを伸ばしているようだ。2009年の前作「Graffiti」は内容が良かったにも関わらず、数字的に本人が納得できる結果ではなかっただろうが、今回のプロモーションが成功した裏側には、制作チームのひた向きな仕掛けが隠されていると見る。それは昨年の夏にかけてバラ撒いたミックス・テープ「Fan of a Fan」が広く取り上げられ、収録曲からはラジオのオンエアで本作のヒットともなっている“Deuces”や“No Bullshit”が年末にかけてプレイされまくったことが、本作に向けて大きな功を成したと考えられる。本アルバムからは現在もシングル・カットごとにチャートの上位へ送り込んでおり、4つ打ちのクラブ・チューン“Yeah 3x”は全米シングル・チャート最高位15位、バスタ・ライムスとウェインをゲストに本人もラップをかます“Look at Me Now”が6位の他、ダンスシーンからBenny Benassiという強力なリミキサーを迎えた“Beautiful People”やマイケル・ジャクソンのサンプリング・・・と言うよりはSWVの“Right Here”をそのまま再利用した“She Ain’t You”は30代後半にまでピンとくるような感覚。もちろん、現代っ子のためにはジャスティン・ビーバーをゲストに“Next 2 You”といったポップ志向のソフト・タッチな収録曲もあり。デラックス・エディションには更に4曲が追加され、ヒップホップのリスナーにはチクリと刺激的なWiz Khalifa(ウィズ・カリファ)を迎えた“Bomb”、西の方々に絶大な人気を誇るGameが参加した“Love The Girls”が収録。ティンバランドらしい制作力がキラリと光る“Paper, Scissors, Rock”なんて曲もフロア受けが狙えそう。本アルバムに対してあえて言わせていただくと、“Should’ve Kissed You”以外に、もっと強力なラブソングが1曲欲しかったというところ。踊りもだけど、それ以上に歌えるシンガーでもある彼だからね。

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