6LACK / East Atlanta Love Letter

Release Date / 14 Sep. 2018

なんでもR&Bにトラップ・ヒップホップのエッセンスを加えたジャンルなので、巷ではトラップ・ソウルと呼ばれているそうだ。とは言えここ数年で流行中のサウス系サウンドなので目新しさは無いのだが、他のサウス勢の作品と比べると今作はややダウナーな曲が多いと感じた。これは決してネガティブな意味合いでは無く、トラップの陰鬱な雰囲気と彼の声質がマッチしていて個人的にも好きなアルバムなくらいである。という訳で2018年に入りホットなアルバムを量産し続けているアトランタ勢から今度は6LACK(ブラックと読む)の2ndアルバムとなる「East Atlanta Love Letter」がドロップされた。2年前に発表したデビューアルバムの「Free 6LACK」では、受賞こそは逃したものの第60回グラミー賞にて2部門でノミネートを受けるなど、シーンからも高い評価を得た6LACK。これをきっかけに昨年にはApple Musicが新たに立ち上げた新人育成プロジェクト〈UP Next〉の第一弾アーティストに抜擢され、アップル社の全面バックアップを受けるという幸運もゲット。そんな順調なキャリアをスタートさせた6LACKが放つ「East Atlanta Love Letter」だが、先述した通りダウナーなトラップと、6LACKが操るラップのフロウのような歌声の相性が抜群に良い。そう、実はラップのフロウのようなスタイルには理由がある。なんと6LACKはバトルMC上がりのシンガーなのだそうだ。その輝かしい経歴は、あのヤング・サグともMCバトルしただの、敗戦は過去にたった1度だけだの、戦績はかなり盛っているような気配も(笑)だが、曲を聴けば確かにラッパーあがりなのも納得のフロウであり、よくもまぁ器用に言葉をビートに乗せるものだと感心させられた。今作はこれだけでも聴く価値のあるアルバムだが、地元アトランタのアーティストを中心に多彩なゲスト陣の参加も楽しめる。例えばアルバムタイトル曲の‘‘East Atlanta Love Letter’’ではフィーチャー、‘‘Pretty Little Fears’’ではJ・コール、‘‘Balenciaga Challenge’’ではオフセットをゲストに迎えたうえに、玄人好みで渋めのトラップ・ソウルがズラリと並ぶ充実ぶり。
(DJ YU-1)

PAGE TOP