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2Pac / The Underground Railroad

Release Date / May 24 2017

あの2パックの自伝映画『All Eyez On Me』が何やら物議を醸しているらしい話を知ったのは、実は最近の事だ。これは全米では昨年6月に公開されたはずの『All Eyez On Me』の日本公開が、封切りから半年経過した昨年の12月29日とタイムラグがあった為だ。なので筆者はまだ作品を見てはいないのだが、なにやらUS本国ではガラケー時代に死んだはずの2パックが作中ではiPhoneを使っているのがフェイクだと叩かれているそうで・・・まぁ個人的には、その辺のディテールのいい加減さも最高にヒップホップしていて好きなのだが(笑)更に言えば文句を言われながらも映画自体の興行成績はすこぶる好調らしく、死後から何年経ってもヒップホップの中心に居座る2パックというラッパーは一体いつまでシーンを引っ掻き回すのだろうか?
と、ここまで前フリが長くなってしまったが、この『All Eyez On Me』の公開のタイミングに合わせたかのような面白いアルバムがリリースされた。それも2パックの未公開音源集だ。いや、まだ2パックに未公開曲があったのかと呆れるリスナーもいるかもしれないが、今作は今までの未公開音源とは趣向が違う。そう、今作の音源の出どころは2パック本人では無く2015年に死去したプロデューサーのデヴォン・エバンスからなのだ。この名前を聞いてピンと来た方は古参のヒップホップ・リスナーに違いないだろう。一般的に2パックのイメージといえば西海岸のギャングスタラップの第一人者で間違いないが、実は彼はニューヨーク出身でオールドスクールなスタイルのラッパーだったことは御存知だろうか?この2パックという稀代のソロMCがデビューする前に在籍していたグループこそがデジタル・アンダーグラウンドであり、同グループのプロデューサーがデヴォン・エバンスという訳だ。そしてデヴォンが2パックのソロデビュー前に録り貯めていた音源集が今作「The Underground Railroad」で、時期的にデジタル・アンダーグラウンドからソロへ移行する間の音源ということは80年代後半~90年あたりに収録した曲達ということになる。当然、今作は2パックのファンなら気になる作品に間違いないが、所謂2パックらしくない曲が多数あり、ウェッサイファンの間では賛否が分かれるのでは無いか?なんてったって冒頭一曲目の‘‘I Saw Ur Girl’’からして‘‘The Champ’’ネタのオールドスクール全開な幕開けである。確かにここまで露骨なオールドスクールは‘‘I Saw Ur Girl’’くらいのもので、後の2パックに繋がるような楽曲も収録されてはいる。しかし同一のアルバム内で、フロウやライムが80年代風味の曲と、晩年に近いスタイルの曲が混在しているのがどうしても気になってしまうのだ。そんな中で今作収録の最大の目玉は、あの2パック渾身の大ヒット曲‘‘Changes’’のプロトタイプだそうで・・・なるほど、確かにラップパートは‘‘Changes’’で間違いないが、トラックネタが有名な‘‘The way It Is’’使いではなくなっている。でもさ、本当に‘‘Changes’’のリリックってそんなに昔に書いたのかな?うーむ、なんか嘘くさいな(笑)いや、逆に言えば、このディテールのいい加減さも最高にヒップホップしているので、事の信憑性を問わなければ今作が聴いて面白い音源集なことは間違いない。
(DJ YU-1)

Charli XCX / Pop 2

Release Date / Dec. 15 2017

2017年で言えば3月にミックス・テープ「Number 1 Angel」をリリースしたUK発のシンガー = チャーリー・XCXがこの年末に今年2作目となるミックス・テープ「Pop2」を発表した。日本のファンにとって今年のチャーリー・XCXは、体調不良によるサマーソニックの出演キャンセルという残念なニュースが記憶に新しいが、今作ではキャンセルの汚名挽回と言わんばかりに多彩なゲスト達とのコラボレーションが楽しめる。まず今作からのリードシングルとなる‘‘Out Of My Head’’は「Pop2」のタイトルに相応しいポップス全開の軽快な一曲になっており、ゲストにはタヴ・ローとアルマを迎える。尚、この‘‘Out Of My Head’’のプロデュースはロンドンの異端レーベルとして知られるPCミュージックのAG・クックとソフィーによるもの。実はここが今作のミソで、どうやら「Pop2」はチャーリーとAG・クックの2人による企画で制作されたようだ。それこそリードシングルの‘‘Out Of My Head’’はポップな曲に聴こえるが、それ以外の収録曲は一筋縄ではいかないクセのあるトラックばかりなのはAG・クックの仕事という訳だ。そう、先程は多彩なゲスト達と書いたが、今作ではキャロレイン・ポラチェックが参加した‘‘Tears’’、ブルック・キャンディとの‘‘I Got It’’、‘‘Porsche’’ではデンマークのシンガー = ムーをフィーチャーしたりと、収録曲の大半で様々なゲストを呼んでいる。だが、これだけのゲストが参加しているにも関わらず、何処か実験的で捉えどころの無いAGのサウンドがシンガー達を喰ってしまっているように感じる。これは決してネガティブな見方では無く、むしろ今作はネットレーベルとして次世代の音楽の在り方を体現しているかのような存在であるPCミュージックの尖がった部分を楽しむべき一枚だと思う。確かに、この「Pop2」のサウンドは、ポップシンガーの作品としては好き嫌いが分かれるだろう。だが、個人的にはこの我が道を行く感じは好感が持てる。サマーソニックでは、きゃりーぱみゅぱみゅとの共演も計画されていたチャーリー・XCXだが、来年こそは日英の〈ネオPOPs〉の共演も見てみたい。
(DJ YU-1)

Big Sean & Metro Boomin / Double Or Nothing

Release Date / Dec. 8th 2017

それにしても2017年のメトロ・ブーミンは多作すぎる。なんといってもメトロは、筆者も先日レビューした21 サヴェージとオフセットとの共作「Without Warning」をリリースしたばかりだ。それから僅か一カ月程のスパンで、今度はビッグ・ショーンとの共同名義で「Double Or Nothing」なるアルバムをドロップしてきたとは。まだまだ「Without Warning」がチャートインしているにも関わらず新作をリリースなんて、、、今年でいえば21 サヴェージにも言えた事だが、この人達にはトラックやリリックを出し惜しむという感覚は無いのか!?筆者としてもここまで制作意欲が旺盛なメトロ・ブーミンに感心する半面、一曲一曲毎のクオリティが薄まらないか心配になるくらいだ。実際、ライト層のリスナーが一聴したくらいでは「Without Warning」と「Double Or Nothing」の区別がつかないのでは無いか?
確かに「Without Warning」では21サヴェージにオフセット、「Double Or Nothing」ではビッグ・ショーンという、個性の異なるMCが軸となっている。しかしながら両作ともトラックメイカーがメトロのみの一辺倒だと流石に食傷気味に感じてしまうのが本音だ。もちろん何小説か聴いただけでメトロのビートだと分かる世界を確立したことは彼が一流であるが故だが、だからと言って同じようなトラックを短期間に20~30曲も披露すべきだったかは疑問である。ただ、今作ではメトロにしては珍しいサンプリングトラックの‘‘Whos Stopping Me’’や‘‘No Hearts, No Love’’で曲調の変化も楽しめる。両曲ともなかなか面白いトラックに仕上がっているあたりは流石の仕事ぶりだ。ただ、それだけに他の曲達のワンパターンぶりも余計に目立ったのだが・・・特に前作で共演したばかりの21サヴェージをゲストに迎えた‘‘Pull Up N Wreck’’なんかは前作と今作のどちらに収録していたか、来月には覚えていないかも(笑)
と、ここまでは酷評のレビューになってしまったが、今作がヒップホップのアルバムとして完成度が非常に高いことは間違い無いので悪しからず。もしリリースの間隔がもっと開けば、聴こえ方もポジティブな方向に変わっていたに違いない。
(DJ YU-1)

Fabolous and JadaKiss / Friday On Elm Street

Release Date / Nov. 24 2017

共にニューヨーク出身で2000年代初頭のヒップホップシーンで凌ぎを削ってきたMCといえばファボラスとジェイダキス。当時のヒットメイカー、例えばDJクルーやケイスレイ、ファンク・マスター・フレックス等が仕掛けるマイクリレー物のトラックでは必ずと言って良いくらい彼らのラップが聴けたあの熱い時代・・・あれから2人共にベテランと呼べるまでのキャリアを重ねてきたが、あの当時の熱量を持ったコラボ・アルバムがシーンに投下!!いや、実際のところはファボラスとジェイダキスによるミックステープの共作計画がアナウンスされてから一年余りが経過しており、今作を待ちくたびれていたファンも多いことだろう。そして待たされた甲斐のあるファットなビートにどうぞ安心してください(笑)
その「Friday On Elm Street」なるタイトルの今作はアルバムのイントロとなる‘‘F vs J Intro’’のシリアスな導入から幕を開けるが、ビートが鳴ったと同時に東海岸のヒップホップのそれだと分かる空気感が一気に広がる。西海岸でもなければサウスでもない、ニューヨークのミドルスクール特有の殺伐さに絡まるファボラスとジェイダキスのフロウもタイトだ。そして‘‘Stand Up’’、‘‘I Play’’ではスウィズ・ビーツ、‘‘Ice Pick’’ではスタイル-Pといった同世代のゲストとの相性の良い共演が聴けるのも嬉しいところ。また‘‘Stand Up(Remix)’’なんかではトラック自体はオリジナルのまんまで使用してるのに、ゲストのラッパーのパートを増やしただけでリミックスと言い張るあたりが最高に2000年代前半っぽくて笑ってしまった。(当時のこの手法のリミックスのゲストは大体バスタ・ライムズとM.O.Pだったりする)こんな感じで、個人的には大いに楽しめた「Friday On Elm Street」だが、今作がビルボードチャートでも初登場でTOP 10に入ってきた事実には驚いた。この手のサウンドは現行シーンでは苦戦するかと思っていたが・・・これで通算ではファボラスが6作目、ジェイダキスには5作目となるTOP 10アルバムとなった。流石に2人共まだまだ老け込む年ではなかったという事か。ニューヨークサウンド好きにはドープな一枚。
(DJ YU-1)


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