Justin Bieber / Justice 

Release Date / 19 March 2021

およそ1年前にドロップした前作『Changes』では全米1位を獲得し、またその楽曲の完成度の高さで自身のキャラクターをアーティスティックな方向へと転換させる事に成功したJustin Bieber。あの傑作から1年後となる20213月に発表した今作『Justice』は、ロックダウン中にレコーディングされた楽曲が多数を占めているだけあって、前作よりも更に心情的なリリックや社会情勢を鑑みた曲が多くなっている。これにより今までのポップスターのイメージから益々アーティスティックなシンガーへと変貌を遂げているJustinだが、この影響が彼にとってどう転ぶのか非常に興味深いところだ。

という訳でこの『Justice』を紐解いてみると、すっかり大人になったJustin BieberSmoothにハマる珠玉のバラード達に打ちのめされてしまう事となる。そして、このバラード達の中でも個人的なフェイバリットなのがビルボードのシングルチャートで6位に付けた“Anyone”、またChance the Rapper がキレキレのヴァースで援護射撃した事により同チャートにて最高3位を記録した“Holy”2曲だ。特に“Anyone”は、説明不用のボクシング映画『ロッキー』からインスパイアを得たMVに乗せて、妻への愛を綴るというコテコテのアメリカ映画仕様に仕上がった1曲なのだが、ここまでコテコテだと逆に清々しいとさえ感じたくらいだ()尚、この“Anyone”MVのボクシングシーンの撮影の為に自身のタトゥーを消す配慮は、エンターテイナーとして流石の気遣いだった事も付け加えておく。他にもダウナーなサウンドに乗せて〈孤独〉をテーマにしたリリックで聴き手をトコトン落としてくる“Lonely”、また本来の彼らしいリズミカルなサビで身体を揺さぶる“Hold On”など、アルバム全体のバランスを整える楽曲群のクオリティも絶妙だ。

前途の『Changes』では、7枚のアルバムをビルボードのトップに送り込んだアーティストとして史上最年少記録を樹立したJustinだが、今作を聴く限り更なる記録の更新が期待できるのではと感じた。また、残念ながら先日のグラミー賞では4部門にノミネートされながらも無冠に終わってしまったJustinだが、来年のグラミーではこの『Justices』を引っ提げてリベンジを果たしそうな予感さえ漂う。

 

DJ YU-1

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