Eric Roberson / Hear From Here

Release Date / 3 Apr. 2020
さしずめインディ・シーンの帝王といったところか?それは誰の事かと言えば、R&Bはもちろんのことソウル/ファンクやジャズにも精通し、ヒップホップ界隈とのコラボレーションも幾度もこなしてきたベテランシンガーのエリック・ロバーソンの事だ。これまでもミュージック・ソウルチャイルドや故J・ディラ、レイラ・ハサウェイにDJスピナといった一流どころからラブコールを受け続け、また同業者からリスペクトの声が鳴りやまない程のシンガーでありながらも一般のリスナーからの知名度は何故かイマイチ。余談だが、ヒップホップ・シーンではゴッドファーザー・ドンがそれに近い立ち位置と言ったら分かりやすいか?まぁエリック・ロバーソン自身はメジャーだとかインディだとか、そんな事は一切気にすることなくアーティスト人生を謳歌しているのだから大きなお世話だろうが、彼がこの度リリースしたスタジオアルバム「Hear From Here」もR&B/ソウル作品としては屈指の出来栄えで、1人でも多くの人に聴いてもらいたいと勝手に思ってしまう次第である。まず今作の何が素晴らしいって、1枚のアルバムで起承転結がここまでしっかりとしたアルバムを聴く事自体が久しぶりな気分なのだ。そう、アルバム冒頭に響く極めてオーセンティックな”Rode To Recovery”から始まる今作は2曲目の”Omaha”、3曲目の”Never Ever”でヒップホップ色強めのタフな一面を魅せ、また4曲目のダンサブルなアッパーチューンの”Hurry Up”で今作「Hear From Here」は、盛り上がりの頂点を迎える。そして、今作の本当の肝は5曲目の”Already Knew You”から幕を開ける怒涛のバラード・メドレーではないか?このアルバム後半の全編に渡って響き渡る珠玉のメロディラインの数々はまさにベテランの矜持。先程も述べたが1枚のアルバムでここまで綺麗に起承転結をまとめてくるあたりは感服モノだ。まるで横綱相撲を見せられた気分なのだが、これが一体どれだけ売れるのだろうか?(笑)とは言えエリック本人はセールスなんて意に介せずに我が道を進み続けるのだろう。その渋い生き様には最大級のリスペクトを送りたい。
DJ YU-1

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