Tyga / Careless World: Rise of the Last King

Release Date / Feb. 20 2012
Careless World Rise of the Last King
コンプトン出身、現在22歳の若手ラッパー。2012年に最も活力のあるHip Hop界の新カリスマとなることは間違いない。新人ではあるがインデペンデントでのデビュー作となったのは2008年。Fall Out BoyのPete Wentzが所有するレーベル“Decaydance Records”からで、現在はTravie McCoyのキャラクターで功を成しているGym Class Heroesや新作の売行きも好調なロック・バンドPanic! at the Discoなどが所属する。Travie McCoyとはファミリーと呼び合うほど交流が深く、タイガの活動初期にはトラヴィの支援を多く受けていたようだ。そして、今回のメジャー第一弾となるリリースはラッパーを志すキッズには夢のようなYoung Money, Cash Moneyというお墨付き。Weezyが見込んだアーティストだけに、当面は相当な圧力をかけてプッシュしてくるに違いない。ここまでのデビューに至っても仕掛けは決してインスタントではなく、4年間で放った13本のミックス・テープが全てを物語っている。個人的にもよく覚えているが、2010年の夏にクリス・ブラウンと共にリリースしたミックス・テープ「Fun of a Fun」では“Deuces”がビックヒットとなり、後にアンダーグラウンドの枠を超えてタイガの名刺を人々のメモリにファイリングする結果となった。そして先程も述べたように、Weezyの太鼓判が刻まれた本メジャー作はゲストのクレジットを見るだけでも、普通の新人ではないことが誰の目にもわかるはずだ。人気どころではNicki Minaj, J. Cole, Wale, , Big Sean,など本来同じ土俵に立つのが難しい新人同士。そして師匠であるLil Wayne, Drake, ラップ界のレジェンドNas, Busta Rhymes, そして歌モノではChris Brown, T-Pain, といったビック・アーティストからMarsha AmbrosiusやRobin Thicke,といったシブ系まで。おっと今回制作陣として、またカーティス・メイフィールドのような歌声を披露しているPharrell Williamsも忘れちゃいけない。勿論レコード会社の親分Birdman氏も「おい、若王子さんよ、オメーの時代がやってきたぞ!」と短いメッセージを収録している。そして、その期待に見事答えるようにアルバムからの3rdシングル“Rack City”が全米シングル総合チャートで最高7位を記録。アルバムも全米アルバム・チャートで初登場4位を記録した。(2012年3月10日付)どこまでこの気だるい業界をひっかき回してくれるのか、今後が最も楽しみなアーティストである。

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