Roscoe Dash / J.U.I.C.E.

Release Date / Dec. 20 2011
J.U.I.C.E
日本ではまだ一部のコアなオーディエンスにしか知られていないが、アメリカのティーン・エイジャーからは絶大な人気を誇るラッパー、ロスコ・ダッシュのミニ・アルバム。実質的には本作が米Geffen Recordsよりリリースしたメジャー・デビュー作となる。詳しい理由はわからないが、2010年10月にInterscope Recordsより発売予定だったアルバム「Ready Set Go!」は正規のルートで流通することはなく、恐らく契約上の理由だろうか、お蔵入りとなったようだ。(後にブートでミックステープとして出回っているが・・・)業界での経歴はまだ比較的に浅く2011年12月現在、21歳となる彼が初めてリリースしたミックステープは2010年1月にドロップされ、Soulja Boyと共にコラボレートし全米シングル・チャートでも46位となった「All the Way Turnt Up」リリース直後、2月のこと。タイトルは「Can’t Catch the Lambo (with DJ Kutt Throat)」で同年9月にはコアな層に向けたミックステープ「Demolition 2020 (with DJ Kutt Throat)」をドロップし、特定のファン層を獲得している。そしてこの2作目のミックステープと同時進行で世間を騒がせていたのが、Waka Flocka Flameがプラチナム・セールスを記録し全米シングル・チャートでも13位まで登りつめた“No Hands”にフィーチャーされメインのフックを歌っていたロスコ自身である。要するにこの時点までに、ロスコを売り出す仕込みが充分に整っており、2010年10月にリリース予定だった「Ready Set Go!」でめでたくデビューと行きたかったに違いない。が、私自身は本作「J.U.I.C.E.」(省略の意味はJust Understand I Control Everything)が第一弾となって良かったと思っている。何故なら「Ready Set Go!」と聞き比べても、本作の方が格段にレベルを上げ、よりオリジナリティーがハッキリした作品に仕上がっているからだ。Readyの方は明らかに「・・っぽい」うえに、正直言って「All the Way Turnt Up」以外にシングルを切れる楽曲がない。そして本作「J.U.I.C.E.」のリリース前にも仕込み時間が設けられていたのだが、2011年に最も注目された新人ラッパーのセカンド・シングル“Marvin & Chardonnay”が2011年7月に発表され、フィーチャー・アーティストとしてフックを歌うRoscoeは、この時点では誰もが知るヒップホップ界のムードメイカー。ヒットまでのキッカケを作り、R&B/Hip Hopチャートで1位、全米シングル・チャートでも32位を記録。9月にはプロモ盤で本作のファースト・シングル“Good Good Night”が発表され、ティーン・エイジャーのiPodには欠かせない曲となったようだ。アルバムは今のところ全米アルバム・チャートで180位と不調。ちょっと過小評価されすぎ?とは思うが、とても良い作品なので是非ともヒップホップのコアなファンには手にしてほしい1枚である。

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