R. Kelly / Love Letter

Release Date / Dec. 14th 2010
Love Letter
ベスト盤とコンピレーションを除いて通産10作目にあたるスタジオ・アルバム。彼の音楽史を振り返ると、二番煎じだった時代あり、自らが歴史を築いた時代もありと20年近くに渡って激動のR&Bシーンに君臨し続けてきた。男性のセックス的シンボルとしてフォーカスされ過ぎた面も多々あり、もっと繊細な音楽的な部分に直接触れられる機会が少なかったかもしれないが、本作に至ってはそこを語らずにはいられない。音楽産業のシステムそのものがデジタル化されてしまった現在において、音楽のシンプルな素晴らしさを呼び起こしてくれたのが本作。50年代にサム・クックがゴスペルからソウル・ミュージックの原型を形取ったように、新鮮で活力のみなぎるメロディー、魂が体中に溢れだすような叫び声を詰め込んだアルバムが本作である。アルバムのジャケット、そして先行リリースされたシングル「When a Woman Loves」を聞いてもわかるように、50~60年黄金時代の音楽に回帰し、トラックの上に後付けされた音楽ではなく、メロディーありきの音楽へと自身の曲作りを根底から覆しているのも印象的。彼のことは誰よりも理解していたはずの著者だが、ここにきて天才的な才能を改めて知らされることとなったのも事実だ。アーティストの意思により表示されていないが、シークレット・トラックにはマイケル・ジャクソンのためにペンを握り、ビルボード記録史上初の初登場1位を記録し世界的にヒットとなった“You are not alone”のセルフ・カヴァーも収録。当初は本アルバムのコンセプトから外れるので収録される予定ではなかったらしいが、ジャイヴの社長に説得されてシークレットとして収録されたとのこと。(Jive担当者談)これ以上のクリスマス・プレゼントは無いよね!

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