TLC / TLC

Release Date / June 30 2017
Tlc
事実かどうかはともかく、これがグループとしての最後のアルバムの予定だそうだ。彼女らを90年代最高のR&Bユニットと評して反論するリスナーが果たしてどれだけいるだろうか?アルバム総売上は世界規模で6500万枚。女性R&Bグループとしては史上最多のセールスを誇るTLCが満を持して自らのグループ名を冠したスタジオアルバム「TLC」をリリースした。レフト・アイの事故死以降、グループ自体は存続しているものの2002年の「3D」を最後にアルバムは発表していなかったTLC。単発の楽曲の発表や個別の活動は途切れていなかったとはいえ、ここまで期間が空くと事実上の解散では?との憶測も飛び交っていたが、突如グループ最後となるアルバムの制作がアナウンスされたのが2014年の事。今作ではクリスティーナ・アギレラやブラック・アイド・ピーズの育ての親としても名を馳せる巨匠ロン・フェアをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えることが発表されてはいたが、それ以外の情報はあまり無く、アルバムまで随分待たされてしまった。昨年の終盤に入ってから少しづつ作品の全貌が見えてきたが、待たされた甲斐があったかどうか気になるところだ。まず何と言っても久しぶりの新曲となる‘‘Haters’’、‘‘Joy Ride’’の2曲を昨年10月に配信スタートした訳だが久々に聴いたTLCは、相変わらずTLCだった。浮遊感のあるトラックの‘‘Haters’’、正統派のミディアムチューン‘‘Joy Ride’’。最近流行りのジャンルレスなサウンドでは無く、R&Bど真ん中の曲達にはツボを突かれた思いだ。懐古主義という訳ではないが、やはりTLCはこうでなくては。今作「TLC」は上記2曲以外にもスヌープをフィーチャーしレイドバックした空気感が秀逸な‘‘Way Back’’や、大胆にもアース・ウィンド&ファイヤーのクラシック‘‘September’’をサンプリングした‘‘It’s Sunny’’等、グループ最後を飾るに相応しい熱を帯びた曲が並び、本当に素晴らしいアルバムになったと思う。・・・本音ではこれが最後だとは思いたくは無いが。何故なら今作ではレフト・アイの声を聴く事が出来なかったからだ。実は「TLC」には、かつての2PACの遺作のように生前に収録されたレフト・アイのラップの中から御蔵入りしたヴァースを新曲にマッシュアップするプランがあったそうなのだが、彼女の遺族と利権の問題で揉めてしまった為に今作では実現しなかったそうなのだ。もし事実なら残念過ぎるし、まだ未公開の彼女のラップが本当に存在するのなら、グループの最後は3人揃った曲で締めくくるべきではないか?TとLとCが不揃いのラストアルバムではあまりにも寂しい。
(DJ YU-1)

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