ソウルピーナッツ

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Slum Village / Yes !

15年06月30日

Release Date / June 16 2015
YES (イエス) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)
かつて故J Dillaが在籍し、メインストリームからもアンダーグラウンドからも一目置かれているHIP HOPグループ、スラムヴィレッジ。結成時から幾度かメンバーの入れ替えがあったものの、良心的なサウンド自体は変わる事無く2013年からは現在のメンバー構成(T3、ヤングRJ、Illa J)に落ち着いた。現メンバーになってからは二枚目のアルバムとなる今作「YES!」だが、これまでの作品とは少し色合いが違う内容となった。というのも今作はスラムヴィレッジ結成当初のオリジナルメンバー(K3、J Dilla、バーティン)による1994〜95年時代のデモ・トラックをリマスタリングし、現在のメンバーのラップを乗せるというイレギュラーな構成となっているからだ。J Dillaのトリビュートアルバムと位置ずけるには彼の死から時間が経ち過ぎているような気がするが、J Dillaがスラムヴィレッジにとって今尚必要不可欠な存在である事を印象づける作品となっている。

今作のトラック群は現行の技術でリマスタリングされているとはいえ、約20年前に制作されたトラックだ。当たり前の話だが今現在流行しているHIP HOPのトラックより圧倒的に音数が少ない。あの当時ならMPC2000やSP1200等のサンプラーにシーケンサーの組み合わせという、今思えば非常にチープな機材環境で作られただろうから無理も無い話だ。だがしかし音数が少ないからといって決してスカスカなトラックという訳でも無い。MacもPro Toolも無い時代に苦心して産まれたマジックとでも言えようか。当時はサンプラーで巧みに音に魔法をかけるようなプロデューサーが数多くいたのだ。もちろんJ Dillaもその一人。例えば今作でDe La Soulが客演している‘‘Right Back’’は音数的には上ネタのピアノにビート、ラップとフックのスクラッチのみという4トラックのMTRでもレコーディング出来そうなくらい単純な曲なのだが、飽きる事無く何度でも聴けてしまう深みがある。確かに音数は少ないが、一つ一つの音のバランスが絶妙なのだ。他にもアルバムイントロ直後の曲‘‘Love Is’’やJ Ivyをフィーチャーした‘‘Windows’’等を始めとしてデモの段階でお蔵入りしたとは思えないクオリティの高い曲が続く。そんな危うくお蔵入りするところだった名曲達は実はJ Dillaの母親が保管していたという。それがK3の手に渡って今作の完成となった訳だが、制作から20年経っても色褪せない曲を掘り起こした意義はとても大きい。久々にクラシックと呼べる作品と出会えた。
(DJ YU-1)

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