Jamila Woods / Heavn

Release Date / Aug. 2017
Heavn
ちょうど一年前には今作をフリー・ダウンロード出来たという事実には驚かされたが、元々フリーで聴けたアルバムを敢えて商業リリースしたという事実もまた驚愕である。それは一体何の事かと言うと、今年の8月15日にデジタル先行配信がスタートし、CDは10月にリリースされるジャミラ・ウッズの1stアルバム「HEAVN」の事である。ソロとしては今作がデビュー作となるジャミラだが、グループとしては自身が大学在学中に知り合ったアーティスト、オーウェン・ヒルと組んだユニットのM&O(ミロ&オーティス)名義でリリースした「The Joy」というアルバムでデビューしている。この「The Joy」が音楽シーン内外から高い評価を得たこと、チャンス・ザ・ラッパーやトランペット奏者のニコ・シーガルらとアルバムを通じて共演出来たことは、ジャミラ・ウッズというシンガーが、後にソロでも素晴らしいアルバムをドロップする布石になった事に間違い無いだろう。現に、この共演をきっかけにニコ・シーガルの別名義となるダニー・トランペットの「SURF」へのゲスト参加を果たし、これまたゲストで呼ばれたチャンス・ザ・ラッパーのアルバム「Coloring Book」がグラミー賞で三冠に輝くと、ジャミラの歌声にも注目が集まり始める。この自身に注目が集まっている最中に昨年発表されたフリー配信アルバムこそが今作「HEAVN」という訳だ。もやは盟友と呼べるチャンス・ザ・ラッパー、ダニー・トランペットといった面子だけでなくフィメールMCのノーネームらがゲスト参加した今作には、プロデューサー陣でもソーシャル・エクスペリエントのピーター・コットンテイルやカーター・ラングといった実力派が参加。クレジットを何回確認してもフリーで配信するには豪華過ぎるアルバムになっているが、当然のごとく「HEAVN」は多数のメディアでのベストアルバム・ランキングに名を連ね、遂に2017年に入ると商業リリースが決定。いや、本当に昨年フリーで聴けた人はラッキーです(笑)R&Bというよりはネオ・ソウルよりの歌声が持ち味のジャミラと、彼女の歌声を活かすべく制作された浮遊感のあるトラック達は間違い無いし、これまで何度も共演を重ねて来たゲスト達との相性も言わずもがな。筆者的にはアルバムタイトルでもある‘‘HEAVN’’、ノーネームが参加した‘‘VRY BLK’’、チャンス・ザ・ラッパーとの‘‘LSD’’あたりが今作のハイライトかな?元々フリー配信していただけあって、ビジネスライクなクドさも皆無であり、日常のBGMとしても秀逸な一枚となっている。
(DJ YU-1)

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