Chrisette Michele / Out of Control

Release Date / April 13 2018

2009年には、第51回グラミー賞にて最優秀オルタナティブ・パフォーマンス賞に輝いたR&Bシンガー = クリセット・ミッシェル。この実力派のシンガーが2016年にリリースした前作アルバム「Milestone」は、彼女がかつて所属していたモータウンを離れたのちに自ら立ち上げたインディレーベルであるRich Hipsterから発表した初のアルバムである。その「Milestone」は音作りにおけるメジャーレーベルからの制約より解放されただけあって、クリセット・ミッシェルというシンガーの本来の姿が顕著に表れるアルバムになっていたことは記憶に新しい。そんな前作から約2年越しで発表された今作「Out of Control」でも彼女らしいソウルの解釈が随所に見て取れる。その解釈とはもちろんヒップホップ・ソウルの流儀に乗っとったR&Bだ。そもそも自身のブレイクのきっかけがジェイ・Zの‘‘Lost One’’やNasの‘‘Can’t Forget About You’’へのゲスト参加というレジェンドMC達との共演だっただけあって、ビートが固めに構築されたトラックとハスキーな彼女のボーカルの相性も当然ながらバッチリ良い感じ。前作でのリードシングルである‘‘Steady’’では、その自身の作風を敢えてヒップホップ・ソウルではなくトラップ・ソウルと評したのはオリジネイターとしてのプライドだろうか?今作でも彼女が言うトラップ・ソウルの旨味が収録曲の至るところに散りばめられていて、‘‘No Chorus’’、‘‘Strong Black Wowan’’、‘‘Go Up’’といった、ヒップホップのフィルターを通したトラックが小気味良く続く。中でも‘‘She Won’’では本職のラッパー顔負けのライミング / フロウまで披露。そのビートへのアプローチは素晴らしいの一言である。
(DJ YU-1)

PAGE TOP