Chris Brown & Tyga / Fan Of A Fan

Release Date / Feb. 20 2015
Fan Of A Fan: The Album (Deluxe)
クリス・ブラウンとタイガ。共に89年生まれの25歳であり、それぞれがR&B(クリス)、HIP HOP(タイガ)の次代を担う若きスターである。特にクリスの方は日本でも知名度は高く、ジャンルの垣根を越えたポップスターといっても差し支えないだろう。その2人による今作の「Fan Of A Fan : The Album」はコンビでの作品として実は1stアルバムにあたるのだが、待ちに待っていたファンも多いのでは無いだろうか?というのも、2人を語る上では欠かせないMIX TAPE「Fan Of A Fan」がシーンに確かな爪跡を残したのが2010年の事である。それ以降、幾度と無く共演を果たしてきた盟友同士の5年越しの集大成とも言えるコラボレーションアルバムなのだから。昨年末に先行リリースされたシングル「Ayo」が合図となり、いよいよ今作への期待が高まったところでのドロップとなった。

さて、肝心の中身の話であるが単刀直入に言うと、アルバム全体を通してオーソドックスな仕上がりとなっている。基本的にミディアムテンポのトラックが中心で、上ネタこそ打ち込み系の機械的な音が目立つものの、ビート自体は奇をてらう事なくキッチリと鳴っている。7曲目の「D.G.I.F.U」の様にサウスライクなバウンスビートの曲もあるが、やはり全体的にはオーソドックスである。しかしオーソドックスながらも飽きる事なく聴き続けられるのは2人のスキルの賜物であろう。まだ若いとはいえ10代の頃からキャリアを積み重ねてきた2人だ。キャリアに裏打ちされた確かな実力があってこそミディアムテンポでオーソドックスな曲をじっくり聴かせる事が出来るのだ。特にタイガの普遍的なフロウとライミングは作中のトラックに綺麗にハマっている。タイガは所属するYoung Moneyとの対立により自身のアルバムの発売延期という憂き目にあっているので、今作で少しは溜飲を下げたに違いない。
一方、クリスの方もスターダムを駆け上がった後は私生活に問題を抱えゴシップネタの的にされる事が増えてきただけに、前作「X」に続き再び本業で結果を残して周囲を黙らせたいところか。(曲で扱うトピックを見る限りまだまだヤンチャ盛りではあるが)

今作では、T.Iや50セントをはじめ様々なゲストが参加しているが決してゲストに喰われる事は無く、あくまで主役はクリス・ブラウンとタイガである。25歳という年齢を考えると今後のキャリアも楽しみではないか。それぞれがR&BとHIP HOPの頂点に立ち、果たして第2のJAY-Z & R Kellyになれるかどうか?あの2人のようにケンカだけはしませんように・・・
(DJ YU-1)

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