MARY J BLIGE – MY LIFE 2 – THE JOURNEY CONTINUES ACT 1

Release Date / Nov. 21 2011
マイ・ライフII...ザ・ジャーニー・コンティニューズ(アクト1)
個人的には彼女のアルバムで最高の大作、もっと深いところで言えば私の音楽史でベスト3にランクインするほど思い入れの強いアルバムである「My Life」(94年)の続編にあたる本作。下積みを終え駆け上がりのSean “Puffy” Combs(現Diddy)がUP Townレコード時代最後に手がけたヒット作であり、間違いなく今後のHip Hop史にも残る名作「My Life」。本人もそれは充分承知の上で、再びこのタイトルを掲げる意味を探るべく、恐る恐るアルバムの蓋を開けてみた。そもそも94年当時のMary Jは精神的にもキツイ時期であったはずだが、逆に言えばその苦悩からあれほどの大作が生まれたのは確かなこと。精神的にあれほどハングリーではない現状で、一体どんな歌が飛び出してくるのだろう?全曲を聴き終え出た答えは ”Hip Hop Soul, Once Again” というキーワード。当時から17年経った現在に再びあの匂い、あの空気、あの感触をとめどなく感じる。そして、それは過去に留まった形ではなく、進化形として大きな画用紙に丁寧にデッサンされたかのよう。果てしなくディープなところから、散らばった欠片を拾い集め、17年かけて積み上げた現在の「My Life」。なんてビューティフルな光景だろう。当時のプロデューサー、Chucky Thompson(チャキートンプソン)は彼女の奥底にある魂を鷲づかみにし、見事に歌として表現させた素晴らしいアーティストだったが、今回参加しているプロデューサー陣も「My Life」の続編というコンセプトをしっかりと見極め、脳裏に訴える楽曲を惜しみなく提供しているではないか!特に90年代を過ごしたオジさんの心をとらえるのはEric Hudson作Rick Rossが参加した“Why”、Jim Jonsin & Rico Love作Drakeが参加した“Mr. Wrong”Maryの歌を最大限に生かし、全く流行りの音ではないが素晴らしトラック、Beyonceとのデュエット“Love a Woman”はまともに90年代の良さを引き出したスロートラックでやっつけられる。チャカ・カーンの名曲“Ain’t Nobody”カヴァー。誰もかれもが見事にメロディアスな楽曲を提供し、戸惑ってしまうほど感動的なエンディング。まるで久しぶりに出会った親子の再開のように、17年の歳月を経て不変の愛が再び蘇る作品「MY LIFE 2」。2011年最後の神様からの贈り物と受け止めている。

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