John Legend & The Roots / Wake Up

Release Date / Sep. 22nd 2010
ウェイク・アップ!
John LegendとThe Rootsという2つのビックネームがコラボレート。ベトナム戦争や黒人による人権運動など、アメリカに劇的な変化をもたらした70年代をテーマにカヴァーアルバムが発売される。元々政治や社会活動に熱心なジョン・レジェンドがこの企画を思い立ったのは2008年の夏。アメリカは勿論、世界中が沸いた黒人初の大統領の誕生劇、バラク・オバマ氏の選挙キャンペーンでのこと。先の見えない大不況、イラク戦争問題など激しい時代背景は、もしかして70年代と今を生きる私たちを重ね合わせられるのかもしれない。本作のカヴァーにはBaby Hueyの「Hard Times」で幕を開け、先行シングル曲「Wake Up Everybody feat. Common & Melanie Fiona」(オリジナルはHarold Melvin & the Blue Notes。今は亡きTeddy Pendergrass が歌ったことで有名)80年代のニューヨーク・ハウスDJ達が必ずプレイしていたメッセージ・ソングが大々的に取り上げられている。他にもDonny Hathawayの隠れ名曲「Little Ghetto Boy」、Marvin Gayeが社会問題や反戦メッセージを歌ったことで知られる最高傑作『What’s going on』から「Wholy Holy」を選曲。私が個人的にアルバム中で最高の出来だと感じるのはBill Withers がベトナム戦争の兵士について書き下ろした「I Can’t Write Left Handed」。ジョンが歌詞の世界へ同化し、ラストに繰り広げられる激しいギターソロと共に心が引き裂かれる想いだ。70年代に歴史を残したレゲエ・アーティストLincoln Thompson の「Humanity」もThe Rootsならではのバンドが成せる技。ジョンの歌声はルーツが叩きだす生ライブ音の勢いに押され、これまでに無かった素晴らしいインスピレーションを見せる。バンドならではのヘヴィーな重量感、ブラック・ソウトとの絡みも抜群!アルバムを聴き終え、このダブルヘッダーの来日公演を夢に見るのは私だけではないハズだ。

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