Joey Bada$$ / ALL-AMERIKKKAN BADA$$

Release Date / Apr. 7 2017
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1990年代のニューヨーク。よくヒップホップ黄金期(ゴールデン・エラ)と呼ばれる時代だが、振り返ってみると確かに当時のヒップホップシーンは眩いばかりのクラシックのオンパレードだ。DJプレミアやピートロックに代表されるトラックメイカー達がサンプラーの性能を限界まで引き出したトラックを完成させると、NasやQ-Tip、ラキムといったリリシスト達がタイトなライムでそれに応えた。今や当たり前のようにビルボード・チャートでラッパーがランキング1位を獲得したり、グラミー賞でもヒップホップ勢が賞レースを展開しているが、この礎を築いたのは間違いなく90年代に活躍したブルックリンやクイーンズ出身のアーティスト達だ。あれから20年以上が経過しシーンの音作りに対するアプローチもだいぶ様変わりしたが、あの時代のサウンドを軸に進化した・・・言わばニューヨーク直系の後継者と呼べるラッパーがいる。その男の名はジョーイ・バッドアス。2年前にデビュー・アルバム「B4.DA.$$」をドロップすると、ニューヨークではNasの再来と絶賛されたラッパーだ。このNasの再来といった形容には筆者も異論は無い。DJプレミアや故J・ディラ、ルーツ等の重鎮のバックアップで1stアルバムを完成させたあたり、あの名作「Illmatic」でデビューしたNasの姿と確かにダブる。また、リリックをギッシリと詰め込んでビートに乗るラップのスタイルもゴールデン・エラを思い出させる。今作「ALL- AMERIKKKAN BADA$$」では、このラップのスキルにさらなる磨きをかけてきた。最近流行りの歌を歌っているようなスタイルのラップとは一味違う本物のラップとでも言えようか。ビートに対して言葉の乗せ方のセンスが明らかに異質である。また多彩なプロデューサーを起用した前作とうって変わって、今作ではプロデューサーを1-900とカーク・ナイトに絞ったことも功を奏したか。自身のラップにあったトラックをじっくりとセレクトしたのだろう。その証拠にどの曲でもフロウとライムがくそドープ!この良さが分かる人とは旨い酒が飲めそうだ(笑)
(DJ YU-1)

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